この度ファミリークラス(親の呼び寄せ)に関して政府の新しい方針が発表されたことを受けて、QLSeeker Canadaの上原さんが記事を提供してくださいました。
〔2012年1月号より〕
ファミリークラス(両親、祖父母の呼び寄せカテゴリー)の申請受付が一時凍結
2011年11月4日にカナダ移民省より、当クラスの未審査ファイル数削減とプロセスタイム短縮を目的とした対策が発表されました。
現在165,000人以上がこのクラスからの永住権発行を待っている上に、更に毎年約38,000人の新規申請がある中で、平均審査期間は7年を超え、カナダ政府としてこのまま際限なく申請を受け付けることができない事態となりました。審査期間短縮のために今回打ち出された施策は以下の通りです。
- 2012年の当該クラスからの永住権発行数を60% (15,500件から25,000件へ) 増加することにより、未審査ファイル数の削減を図る。
- 2011年12月1日より両親、祖父母が10年間にわたって自由にカナダに入国できる“スーパービザ”を導入する。また、この期間中最長24カ月間、ステータスを更新する必要なく長期滞在できるようにする。スーパービザの発行は申請から8週間以内が目標。このスーパービザ取得のための要件は以下の通り。
- 1) 健康診断の受診
- 2) カナダのプライベート医療保険への加入
- 3) 収入要件を満たす子供または孫による経済的援助の保証
- カナダ政府は将来にわたって持続可能な両親、祖父母の呼び寄せのために新たな移民プログラムを検討する。
- この見直し期間中に更に未審査ファイルが増加することを防ぐために11月5日より最長24カ月間、新規申請の受付を停止する。
スーパービザについては日本を含めたビザ免除国にも適用され、在外イミグレーションオフィスに申請し、空港において最長2年間のビジターステータスが発行されます。その後はカナダ国内からの更新も可能です。医療保険を自己負担すれば、両親や祖父母は永住権を申請しなくても、カナダ市民権や永住権を持つ子供や孫と長期間同居することが可能となったと言えます。また、従来のように半年でなく2年に一度の更新で済むことは申請者にとってのメリットとなります。
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今春4月1日(2011年)よりカナダでの外国人就労者ビザに関して移民法が大きく変わることを受け、QLSeeker Canadaの上原さんがコラムを提供してくださいました。
外国人一時就労者プログラムの改定について(第一回)
〔2011年2月号より〕
本改正案は2009年10月にケニー移民省大臣より提出され、その後の意見公募期間を経て修正され最終版として2010年8月3日に公布されました。施行は2011年4月1日からです。現在のカナダ移民法はこれまでも頻繁に部分的な改正が行われてきましたが、今回行なわれる外国人一時就労者プログラムに関連する条項の改正はかなり広範囲なものとなります。従ってカナダ市民・永住権保有者以外を雇用する雇用主にとって、場合によってはこれまでの一時就労者雇用の在り方を根本的に見直さなければならなくなる可能性もありそうです。
本投稿では改正される法律条項の解説を行うことにより、多少でもこの改正の意味するところを早めにご理解頂き、将来の実施に備えて頂ければと思います。尚、現時点では法律の条項としてその骨子が示されたにすぎず、施行までの今後3ヵ月間で例外規定や運用レベルでの詳細が詰められていくと思われます。従って現段階では十分に解説できない部分が多々あることを予めご了解ください。
今回はまず本改正の目的についてご説明します。まず第一に外国人就労者への保護の提供です。これまでメディアでも何度も取り上げられてきたように、相対的に弱い立場にある外国人労働者への雇用主による権力濫用、特にロースキルワーカーや住み込みナニーに対する搾取を防止することが急務となっていました。住み込みナニーについては既に現移民法の下で一定の方針が示されていますが、今回の改正で外国人就労者全般を対象とした保護メカニズムが法律上整備されることになります。第二に雇用主に対し契約事項につき、より厳しい実行責任を課すことにあります。つまり、ジョブオファーで約束した賃金、就労条件、職務内容などを遵守していないことが判明した場合は、一定期間外国人の雇用を許可されなくなります。それだけでなく、ウェブサイト上でのブラックリストに社名が公開されるというかなり厳しい制裁が盛り込まれています。第三に外国人一時就労者プログラムの本来の意味、つまり、あくまで“一時就労”であることをより明確にすることです。一時就労による滞在期間に最大4年間という制限を設けることによって、不法滞在の可能性を減らし永住権取得を促すことを意図しています。
以上のように、外国人一時就労者の保護とプログラムの適正な運用を目的とした広範囲な改正が2011年4月より実施されます。次回より改正のポイントについて解説を加えていきたいと思います。
カナダ公認イミグレーションコンサルタント 上原敏靖 (CSIC #M042336)
外国人一時就労者プログラムの改定について(第二回)
〔2011年3月号より〕
前回は今春4月1日より外国人一時雇用についての広範囲な法律改正が行われること、改正の目的が外国人就労者の保護、プログラムの適正な運用の強化にあることを説明しました。今回は法律が具体的にどう変わり、それによってどのような影響が予想されるか。また、施行前の今どのような準備が考えられるかについて説明したいと思います。
まず、今回の改正によってジョブ・オファーの真実性(Genuineness)についてこれまで以上に厳格な審査が行なわれることになります。条文では具体的なファクターとして、1)ジョブ・オファーは当該ビジネスを活発に行っている雇用主から発行されたものか、2)オファー内容はその雇用主の雇用ニーズを反映したものか、3)オファー期間は雇用主の目的を満たすものとなっているか、4)雇用主及びリクルーターは、過去において連邦及び州の労働法を遵守していたか、が明記されます。1)~3)については、これまで以上にサポート・ドキュメントの要求が増えることが予想されます。また、基準4)については現時点では具体的にどのような点にフォーカスが当てられるのか明確ではありません。いずれにしてもCICとサービスカナダ、州政府間の情報の共有化が進む中、CIC オフィサーが労働基準法遵守を含めて審査範囲を広げてくることは間違いありません。
次にサービスカナダでは、4月以降新しいLMO申請書を受理した際に雇用主の過去2年間のジョブ・オファーの遵守状況を調査します。具体的には過去2年間に採用した外国人就労者に対して約束された賃金、労働条件、ポジションが実質的に守れているかどうかです。一旦、オフィサーから疑念を持たれると追加情報を要求され、その結果審査プロセスの長期化につながることが予想されます。また、遵守していないケースが発覚した場合は、最終判断を下す前に雇用主に弁明(Justification)のチャンスが与えられます。条文では、具体的に弁明が認められる例として、1)連邦または州政府の労働基準法改正、2)労働協約の変更、3)経済状況の激変に対応するためにとられた処置、4)外国人に対する義務についての解釈上の誤り、5)会計上または管理上の意図しない間違いが挙げられており、4)と5)についてはそれによって不利益を被った外国人就労者に補償がなされていることが条件となっています。
従って、4月以降にLMO申請を計画される場合は、申請前2年間に雇用した外国人就労者の賃金、労働条件、ポジションがジョブオファーレター、契約書、LMOに記載されたそれと一致しているかどうかを確認し、必要な場合は速やかに補償するなどの対応を事前にとられることが推奨されます。
外国人一時就労者プログラムの改定について(最終回)
〔2011年4月号より〕
前回は、来月1日から施行される移民法改正についてその改正のポイント、つまり、ジョブオファーの真実性(Genuineness)と雇用主のジョブオファーの遵守状況が厳しくチェックを受けることを説明しました。例えば、LMOで許可されたポジションと異なる仕事をさせていたり、LMOで許可された賃金や就労時間数を満たしていない場合は新しいLMOを取得したり更新することが今後極めて難しくなるだけでなく、その後2年間に渡って外国人一時雇用の凍結と、ウェブサイト上での企業名公開の制裁措置を受けることになります。今回はこうした事態を避け、引き続き必要な外国人就労者を確保するための秘訣についてとり上げたいと思います。
- 4月以降LMOを申請する場合は、まず現在雇用中の外国人就労者、特にLMOが必要なワークパーミット保有者の就労状況を確認し、LMOで許可された諸条件と現状が一致しているかどうかを調べることから始めることをお勧めします。具体的には条件の遵守がPayroll RecordやT4などに反映されていることが必要です。
- LMO申請後にオフィサーから追加ドキュメントや追加情報の請求を受けた際に就労者に関する書類や記録を迅速に提出できるように保管しておくことが推奨されます。特にロースキルワーカーの場合は渡加費用など契約上広範に約束した条件に関する記録も全て残しておくことが必要です。
- リクルーターを使う場合はそのリクルーターが州に登録されていること、リクルーターが州の法律を遵守していることを確認することが必要です。例えばAB州ではリクルーターが就労者に対してそのリクルート費用を請求することが禁止されています。こうした契約や事実が発覚すると雇用主には何ら非がなくてもワークパーミットを取得できなくなる可能性があります。
- ワークパーミットで就労期間中に就労条件に変更が生じる場合、例えば昇進によるポジションや職務内容の変更、州をまたぐ就労場所の変更などは新たなLMOが必要となるため、それに向けて広告掲載など早めのアクションを取られることが必要になります。
- 最後に、今回の改正で外国人一時就労者の就労期間はこの4月以降最長計4年間になります。長期的に雇用したい人材についてはカナダでの就労期間をモニターし、早めに永住権取得を促すことも一つの方法です。制約の多い外国人一時雇用プログラムから解放されることは、ある程度雇用のフレキシビリティーを取り戻すことにつながります。
以上が現在考えられる対応策となります。今回の改正については実際に施行されてみてはじめてその変化を実感することになると思いますが、いずれにしても外国人一時雇用を今後も継続するにはこの新しい変化に対し積極的な対応をとることが必要になると考えられます。
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個人移民申請の現状と今後(1)
-連邦スキルワーカー-
〔2011年5月号より〕
現在個人移民申請のクラスとしては連邦スキルワーカークラス、州指名プログラム(PNP)、カナダ経験クラス(CEC)等があります。今回は連邦スキルワーカークラスのこれまでの経緯と現状、更に現在政府内で検討されている審査基準の変更について取り上げます。
連邦スキルワーカークラスでは2002年以来現行のポイントシステムが採用されており、職歴、学歴、年齢、語学力、適応性、雇用確保の6つの指標についてポイント化され、計100点のうち67ポイント以上を確保していることが永住権発行の要件となっています。更に、2008年と2010年に移民省大臣から発行されたインストラクションによって、上記要件に加えて、カナダで人材の不足する指定29職種のいずれかで1年以上の職務経験を有するか、またはカナダで雇用が確保されていることが、申請に必要な要件となりました。このように間口を狭めることでプロセスタイムの長期化に歯止めをかけることには一定の成果が上がりました。
さて、今回提案されている改正は、6つの指標自体は変えずに各指標に対するポイントの配分と各指標内での配点基準の変更によって現状の問題点を解決することを意図しています。
まず、移民後の雇用状況に語学力が大きく影響するとのデータから、第一言語の従来の配点、最大16ポイントが20ポイントに引き上げられ、更にNOC(カナダの職業分類)のスキルレベルによって最低必要なポイントが規定される見込みです。従って、これまでのように語学力が低くても他でカバーして67ポイントを取得するという方法がもはや通用しなくなる可能性があります。
次に、若年層の優遇です。20代、30代の新しい移民者が国の経済に貢献 する一方で、40歳を超えた新移民者の失業率が高い傾向にあることが明らかになりました。そこで、これまで49歳までは一律10ポイントとしていたのを、35歳までを最大12ポイントとし、それ以上の年齢になるとポイントが漸減し、50歳でゼロとする案が検討されています。
学歴に対するポイントの配分はこれまでと変わりませんが、配管工、大工、修理工といったトレードと呼ばれる職業に従事する申請者の、専門学校やアプレンティス(見習い)の必要年数について条件が緩和される見込みです。また、職歴については従来の最大21ポイントから17ポイントに配分が減らされ、しかも各ポイントを獲得するのに必要な年数が増える見通しです。
最後に、雇用確保のポイント(適応性ポイントを含め最大15ポイント)については配点に変更はありませんが、虚偽のジョブオファーによって、移民後に実際に雇用されていないケースの多いことが昨今問題となっています。このためジョブオファーの真実性についての審査を厳しくし、雇用主に一定の義務を課すことも検討されています。
以上のように今回提案されているポイントシステムの改正は全体的に厳しい方向ですが、特に語学力が低かったり、年齢の高い申請者には不利な内容になりそうです。
個人移民申請の現状と今後(2)
-カナダ経験クラス(CEC)-
〔2011年6月号より〕
前回取り上げた連邦スキルワーカークラスがカナダでの居住歴を全く有しない申請者をも対象として含むのに対し、CECクラス(カナダ経験クラス)はカナダに居住していて就学、就労の経験のある外国人を対象としています。CECクラスの申請資格を持つ人は既にカナダでの十分な基盤があり、比較的短期間で雇用主を獲得し、カナダ経済に貢献できると考えらているため、優先的な審査が行われるとされています。実際、2008年のスタート当初は受入枠に対して申請者が少なかったこともあり、3カ月から半年程度で永住権を取得できた時期もありました。しかしながら、現在は受入れ枠の見直しや、PNP(州指名プログラム)など他の優先審査クラスとの競争もあってプロセス終了まで最低でも1年程度は見込んだ方がよさそうです。
プロセスタイムでのメリットが当初より薄れたとはいえ、スキルワーカークラスのようなポイント査定がないので学歴等にハンデがあり、パスマークを満たすことができなかったり、雇用主からのパーマネントのジョブオファーを受けられない、あるいは受けたくない申請者にとってはメリットがあります。一方、英語の試験(IELTS)のスコア次第で足切りに合うので、英語があまり得意でない場合はスキルワーカー、またはPNPを検討した方が良いかもしれません。
基本的には2つのカテゴリー、留学生カテゴリーと就労者カテゴリーがあります。留学生カテゴリーの申請要件は、カナダでの2年以上のフルタイムコース(ESL、通信教育等を除く)の修了と、申請時から遡り2年以内に1年間のカナダでのフルタイム就労経験(スキルワーカーの職種)を有することです。2年のコース修了後に3年間の雇用主の指定のないオープンワークパーミットを申請できるので、このワークパーミット有効期間中に雇用のチャンスを得られるかどうかが鍵となります。そのためには、現在及び将来的にも需要の高い職種に関連したコースを履修することが推奨されます。
就労者カテゴリーの要件は、申請時から遡って3年のうち少なくとも2年間カナダでフルタイム、スキルワーカーの職種での就労経験を有することです。合法的に働けるビザを保持しての就労は全てカウントされるので、ワーキングホリデービザをフルに活用しその後1年間のLMOの条件付きワークパーミットをサポートしてもらえれば、留学生カテゴリーよりも早く申請資格を得ることができることになります。
両カテゴリーに共通する要件として語学スコア、つまりIELTSで一定レベル以上のスコアを取得しなければなりません。これは職種のレベルによって異なり、NOC(カナダの職業分類)のスキルレベル0とAの職種では平均6以上、スキルレベルBの職種では平均5以上を要求されています。スコアは申請時に満たしていなければならないので、とりあえず申請しておいて語学スコアが満たされたら後で提出するといったことは認められていません。
以上のように、CECクラスはカナダでの就学、就労経験を持った申請者が別枠で優先審査を受けられるクラスなので、カナダ在住の個人移民申請を志す方がまず検討すべきクラスだと思われます。
個人移民申請の現状と今後(3)
-アルバータ州指名移民プログラム(AINP)-
〔2011年7月号より-最終回-〕
シリーズ最後のテーマは州指名プログラム(PNP)です。ここ数年PNPクラスから永住権を申請する人が急増しました。政府もこれを受けて2011年のPNPからの永住権発行目標数を38,500人から43,500人と5,000人増やし、一方、連邦スキルワーカーは69,000人から58,000人へ下方修正しています。この傾向が続くと数年後にPNPが連邦スキルワーカーを数の上で上回る逆転現象が起こる可能性もあります。アルバータ州は一時期極端な人手不足に陥ったことから、PNPを最も積極的に推進してきた州の一つです。今回はAINPのうち特に読者に該当する方が多いと思われるスキルワーカー、セミスキルワーカー、コンパルソリー・オプショナルトレードの3つのカテゴリーについて取り上げます。
スキルワーカーは基本的には連邦スキルワーカー同様NOC(National Occupational Classification)のスキルレベル0、AまたはBの職種で雇用主からのパーマネントジョブオファーを受けることが前提となります。注意する必要があるのは、1)Early Childcare Educator、Managers/Supervisors in the Service、Retail and Foodservice Industriesには固有の追加要件があること、2)シェフとクックは、最近のプログラム改正により当カテゴリーからでなくコンパルソリー・オプショナルトレードからの申請になったことです。
セミスキルワーカーは、食品加工、飲食業、製造業、長距離トラックドライバー、ホテル等の業界でスキルレベルCまたはDでLMOの必要なワークパーミット(ワーホリビザなどのようなオープンワークパーミットは不可)を保有し、現在就労中の方が対象となります。職種ごとにスポンサー企業の要件(企業規模によるスポンサーになれる外国人の数等)、申請者に対する追加要件(英語力、カナダ国内外での経験年数等)が規定されています。
最後にコンパルソリー・オプショナルカテゴリーですが、まず該当する職種の試験にパスし、Alberta Qualification Certificateを取得することが最初のステップになります。但し、この試験の受験資格として、例えばクックの場合は54カ月以上の経験を有すること等の証明が必要です。更に申請時にワークパーミットでAB州において当職種で就労中か、もしくは、申請前2年間のうち少なくとも6か月間AB州の当職種で就労していたことの証明も必要になります。このカテゴリーの特徴は、申請に当たって雇用主の要件がなく、ジョブオファーも必要ないことです。従って、連邦政府のプログラムのように申請者自身が主体となって準備を進めることができます。
AINPには連邦スキルワーカーのようなポイント査定がないので、学歴、英語力で必要条件を満たしていない申請者の救済的役割を担っており、また、トータルのプロセスタイムも比較的短いことが有利な点として挙げられます。しかしながら、プログラムの休止が突然決まったり(昨年夏のファミリーストリーム、USビザ保有者カテゴリー)、申請要件が前触れもなく変更されること(数カ月前のCookの例)があるので常に最新の情報を確認するとともに、現在申請要件を満たしている場合はできるだけ速やかに申請することが重要だと思われます。
カナダ公認イミグレーションコンサルタント 上原敏靖 (CSIC #M042336)

